清華大学 Schwarzman Scholars 留学記

2019年9月より清華大学(Schwarzman Scholars)に留学。日々感じたことを綴っていきます。

オリエンテーション① ~「マイノリティ」であること~

北京に到着しました。
羽田空港で荷物を預けた後、スーツケースの鍵を自宅に忘れたことに気づき、夫に取ってきてもらうという珍事を起こしたりもしましたが(夫よ、ありがとう。。。)、なんとか事なきを得て留学生活のスタートを切れています。

 

早速オリエンテーションが始まりました。学生はほぼ初対面に近い状態ですが、コミュニケーション能力の塊のような人ばかりで、凄まじいスピードで親睦を深めています。私は7年ぶりの海外留学でかなり不安があったものの、非常にフレンドリーな同級生に恵まれ、楽しい日々を過ごしています。

 

オリエンテーション自体は、一般の留学プログラムのそれと大きく異なるものではなく、異文化や中国独特の社会習慣を理解すること、また人生の目標を設定し、その実現に向けどのように行動すべきかを考えることにフォーカスが当てられています。グループワークがプログラムの太宗を占め、文化の違いにより生じ得る問題や対処の仕方についてカジュアルに話す時間が重視されています。

大学によると、学生の4割弱が初めて中国に足を踏み入れたとのこと。長期間、母国を離れて生活するのが初めて、という学生にも多く出会いました。文化的背景は言わずもがな、依って立つイデオロギーも大きく異なる学生同士が1年間共同生活をするにあたり、他者を否定せずに理解しようとする努力はやはり最重要となるのでしょう。

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オリエンテーションの幕開け、welcome meetingにて

シュワルツマン・スカラーズの一つの持ち味は、「全員が何らかのマイノリティであること」と言えます。
一般的には、大学の所在国の学生が人数比においてもマジョリティを占め、大学の文化を形作ります。一方、シュワルツマン・スカラーズは中国のプログラムながら、米国人が40%を占め、「人数的には米国がマジョリティだけど、環境的にはアウェー」です。中国人学生にとっても、ここがホームではあるものの人数比はせいぜい20%程度。どの国籍の人も何かしらのマイノリティ意識を感じるようになっているところが、謙虚に相手の文化について学ぶ一助となるのではと思います。

私自身、大学時代に1年間の米国留学をした時と比べても、圧倒的に居心地の良さを感じています。自身の英語力が当時よりは高いこと(今もかなり苦労していますが…)、社会人としてのある程度の経験を積んだという個人的な事情に加え、この「誰もがマイノリティ」という環境が、謙虚さと自信を同時に与えてくれるように感じています。

 

一方、中国で生活をする上で特徴的と言えるのは、やはり言論統制に対する注意でしょう。中国で生活をしている人にとっては至極当然のことなのでしょうが、Wechat(中国版LINE)上では全ての会話が中国当局に監視されていることを前提とし、超えてはならないレッドライン(政治的に敏感なトピック全般、新疆ウイグルの人権問題等)をきちんと認識すべきとのアナウンスがされました。もちろん学院内での言論・学問の自由はきちんと担保されていますが。

 

オリエンテーションはまだ始まったばかり。あと1週間半ほど続きます。また後半戦についても追って書き残したいと思います。

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