清華大学 Schwarzman Scholars 留学記

2019年9月より清華大学(Schwarzman Scholars)に留学。日々感じたことを綴っていきます。

修論を終えて

修士論文のディフェンス(口頭試問)が先週末無事終わりました。あ~ほっとした。。。
提出期限の直前は「ヤバい」と「なんで直前までちゃんと取り組まなかったんだろう」しか考えられませんでしたがw、本当に無事に終わってよかったです。。かなり久々に胸のつかえがとれたような感覚を味わっています。

コロナの影響で、ディフェンスはオンラインで実施。清華大学史上、初だったそうです。
どんな感じで論文執筆・発表を進めていったのか、ご紹介します。

★シュワルツマンにおける「卒論」とは

  • 概要:シュワルツマンではCapstone Projectと呼ばれるもので、卒業するにはCapstoneを仕上げるのがマストです。プロジェクトは(A)Case Analysis、(B) Policy Analysis、 (C)Academic Research Paperから選べます。分野も経済、ビジネス、政治、科学等基本的になんでもあり。中国に関連していなくてもOKです。

  • 執筆の形態:執筆は個人orグループ。

  • グループの場合は、トピック及び担当教官が既に学院側で決められているので、それに応募する感じになります。今年度の例としては、中国の教育改革、オンラインゲームの海外市場開拓など。日中の科学技術協力なんてのもありました。

  • 企業がグループのスポンサーとなり、完全に特定の企業向けの戦略を構築するようなトピックもありました。シュワルツマン側は企業から協賛金を得られ、企業も学生からのアイディアを聞けるというWin Winな関係を実現するものなのかもしれません。

  • 全学生140名のうち、ざっくり40名(約5人×8グループ)、100名が個人で書くかんじです。

  • 分量:個人のプロジェクトの場合は10,000ワード(約40頁)が目安。
    グループの場合は、グループとして書くセクション:20,000~35,000ワード、プラス個人で書くセクション:2,000~3,000ワード。

ちなみに私は個人プロジェクトを選択。日本の憲法9条について、主に国内の議論をまとめつつ、改正した場合の日米および日中関係への影響について書きました。10,000ワードも書けるのかな…と不安に思っていましたが、書き終わってみると17,000ワード(65頁)くらいになってしまいました。だらだら書きすぎた、反省です。。

★卒論提出の流れ

  • 12月中(?忘れた) 担当教官決定。ゆっくり修論の準備開始
  • 1月中旬 修論の概要決定/担当教官にプレゼン、承認を得たらAcademic teamに提出
  • 3月中旬 担当教官向けに中間発表…が本来の予定として組まれていましたが、コロナで無しに。ドラフトをメールを送るだけでした。
  • 4月末 担当教官/学部宛てに第1稿提出
  • 5月初旬 担当教官よりフィードバック【①】、修正→第2稿を2人のReader(匿名の教授2名)宛て提出。
  • 5月中旬 2人のReaderからもらったコメントを元に修正。担当教官から修正について許可をもらった後、第3稿をAcademic Team及び、口頭試問を担当する教授3名(こちらも匿名)提出。
  • 5月末 第3稿を元に発表(15分)+質疑応答(10分)【②】
  • 6月初旬 最終版をAcademic Teamに提出

★成績評価

  • 色々提出しますが、第1稿提出時の担当教官からのフィードバック(上記①)、および5月末の卒論発表(②)が評価対象となります。

  • ① ・②の成績のウェートは50%ずつ。どちらも100点満点でスコアが付きます。(例えば①で80点、②で70点だった場合、最終の点数は75点。)

  • 最終成績が60点以上だった場合、”Pass”となり、無事合格です。卒論はPass/Failとして成績表に載ります。A、B、C等といった段階的評価は出ません。なので最終評価が60点だろうが、100点だろうが成績表上では全く同じです。

★終えてみて、雑感
 

書く作業

  • Procrastinatorという単語ほど私を的確に表す言葉はないと思います。日本語だとしっくりくる表現があんまりないんですよね…なんでも先延ばしする人、みたいな。
    とにかく、卒論には早く取り組むに越したことはないですね。本当に。こんなに後悔するんだ人間、というくらい遅くに始めたことを後悔しました。早く始めて損することなんてほとんどないはずなので、これからは本当に早め早めに、余裕をもって取り組みたいと思います。

  • 図書館が開いてないのは、きつい。清華大学に加え、NYUのonline libraryも使えましたが(※)、やはり紙の本もきちんとカバーしないと包括的にリサーチをしたという自信が持てません。参考文献もウェブサイトばっかりだったし。
    (※)アブダビ校に行くはずだったため学生アカウントは既に持っており、NYUのご厚意でオンラインのリソースを使わせてもらえました

  • 担当教官との相性は大事。トピックと教官の専門分野が合致しているように見えても、何に重点を置くのかの考え方が違うと大変です。途中で指導教官を変える子も結構いました。

  • 自身の主張を入れることの難しさを実感。私は議論の対立軸を見つけて、それぞれの主張を証明するエビデンスを組み合わせることは割とできるのですが、「だから私はこう思う」と入れ込むのが結構難しい。初めは何も主張がない論文になってました。そうかと思って色々と入れてみると、指導教官から「あんたの主張はいらん」と言われたりと、バランスが難しかった…これはまだ自分でも正直コツが掴めていません。

ディフェンス

  • 卒論の書き出しをぐずぐずした反省を生かし、かなり早めにPPTスライドづくりに取り組めたのは良かったです。ちゃんと担当教官にも事前相談しながら進められたし。ギリギリに取り組んでしまったため、担当教官に見せないまま発表をした学生も割といたようです。
    (担当教官に見せるのはマストではないので問題ないが、やはり教官に相談した方がクオリティは担保されるかと。ちなみに当然ですが、担当教官はディフェンスには参加しません)

  • オンラインのディフェンスで、身振り手振りを交えたプレゼンをしても、ほぼ意味ありません(たぶん)。わかりやすい、かつ字が少な目のスライドを用意して、クリアに話すのみ。

  • パネルの反応や、どこに興味を持っているかを見られないのも結構歯がゆいです。口頭試問や面接っていうのはやはりコミュニケーションなので、相手の表情が見られることはやはり大事だなと実感しました。

  • 質疑応答に関しては、オフラインでやるのとほぼ変わらないと思います。但し、グループプレゼンで質疑応答でする際には、誰がどの質問に答えるかをすり合わせる時間がないので大変だったみたいです。質疑応答中、Wechat上で答える人の割り振りをして事なきをえたようです。

 

と、ディフェンスを終えてひと段落したところでの感想でした。卒業まであと1か月弱、思い出したことをちょくちょく書いていけたらと思います!